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(大)、まあまあ(中)、大事でない(小)というように分類している。質問者が質問リストに答え、その結果をマトリックスにまとめる方法であり、必ずしも定量的な評価であるとは言い難い。
WETの利用目的は事業計画地にある湿地が社会に対してもつ物理的、化学的、及び生物的価値を評価するものである。なお、WETではHEPにない洪水調節等の物理的機能、レクリエーション等の社会的機能が含まれる。
?BEST(Biological Standardized Technique)
開発に伴う環境影響評価の程度やそれに対応したミチゲーションのための環境創造の効果を定量的に評価する方法としてMECAnalvtical System Inc.で開発されたものである。生息場造成を目的としたミチゲーション計画では、評価の主な対象は特に生態学的な側面に向けられている。HEPは生物生態に関するデータを十分に活用せず、専門家の主観的な判断を中心とした得点手法を用いてきた。
BEST法では、フィールドでの生物調査データを数値データとして活用し、可能な限り客観的に効果を評価しようとしている点が特徴である。
なお、BEST法における重要な要素は評価の対象生物種、対象海域、評価項目である。
?HGM(Hydrogeomorphic Apporoach to Wetland Assessment)
ウェットランド生息地を査定する別の手法が1990年以来開発中である。HGMはウェットランドの機能的なアセスメントに地域的アプローチを取り入れたもので、モデルの精度は増す。水分学的なセッチングや流体力学、それに水資源に基づいてウェットランドを分類することで、地域に分割することができる。
HGMはほとんど手つかず状態にある特定の種類のウェットランドからデータを収集することが必要である。HGMはプロジェクトの影響、プロジェクトの代替性及びミチゲーション代替物をデザインする上で役立つ情報のための手段を提供することができる。無数の生息地アセスメントが開発されているが、HEPとWET及びHGMが通常使用されている。
2−2. ミチゲーションのオプション
ミチゲーション計画は各州によって若干の違いがあるが、カリフォルニアの例は次の通りである。すなわち、現在一般に行なわれている方法は?の修復と?の創設のみである。他の3つの手法については特別な場合でないと認められないというのが現状である。
(1)タイプ
?修復(RESTORAT10N)
?創設(CREATIOATION)
?増強(ENHANCEMANT)
?交換(EXCHAMGE)
?保全(PRESERVATION)
(2)タイミング
ミチゲーションがある程度成功したと確信が持てるまでは本工事は許さないというのが許認可の流れであるため、事前にミチゲーションをやらせるというのが一般的である。しかし、その開発行為が国民経済、地域経済に非常に重要な場合は並行で実施することを認める場合もある。ただし、事後というのはほとんどない。
(3)立地及び内容
ミチゲーションを実施する場所の確保が現実的にかなり困難であるため、オンサイトのミチゲーションがなかなか出来ないため、やむをえずオフサイトのミチゲーションが主流となっている。よって、内容もアウトオブカインドとなっている。

Table1.The option of mitigation

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3. 日本型ミチゲーション
3−1. ミチゲーションの基本方針(日本型ミチゲーション)
アメリカ型のミチゲーションの?回避、?最小化、?修復、?低減、?代償の行為のうち、わが国でも?及び?については事業計画の変更として機能しており、また、?及び?についても環境保全対策として従来から実績がある。しかし、?の代償の機能をわが国に導入するにはまだ問題があり、わが国に適したシステムを構築することが必要である。
以下に提案する日本型ミチゲーションにおいては代償を、?環境の視点から分類した海域の類型を把握する、?開発行為に際して各種の工法を用いて、常に現状以上の類型を維持するように対応する、こととして捉える。
すなわち日本型ミチゲーションは、環境(類型)の変化をベクトルとして把握し、適切な計画地点の選定、環境にやさしい工法の導入などを行なうことで、ベクトルを環境創造(修復)の方向へむけることであると定義される。
よって、わが国における沿岸域の開発を日本型ミチゲーションシステムにより評価する場合には、?計画地点の海域の類型の把握と、?環境にやさしい工法の導入について評価する必要がある。なお、アメリカ型のミチゲーションと比較したのが次の表である。

 

 

 

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